アレキサンドライト
アレキサンドライトはもともと「クレソベリル」という鉱物の一種です。クレソベリルはアレキサンドライトだけでなく、キャッツアイなどの宝石の元にもなります。
昼間、太陽光の下で見るとエメラルドの様な緑色の輝きを放ち、夜の蛍光灯などの下で見ると赤色に変化する宝石をアレキサンドライトと言います。無機質なものと思われている石は、手を加えない限りは変化の無いものだとばかり思ってはいませんでしたか?
しかし、この様に場面によって表情を変える物もあるのです。そのため、アレキサンドライトは、初めて発掘された時にエメラルドだと思われていました。
しかし夜になると色が変わるということを知られるとたちまち珍品として取り扱われ、産出されたロシアの皇帝に献上され、その皇太子の名前を貰って「アレキサンドライト」という名前になったのです。また、当時のロシアでは、軍のカラーが赤と緑であったため、ロシア軍の宝石だと大切にされてきました。
特徴
アレキサンドライトは、何よりも変色すると言うことが一番の特徴です。これは、太陽光と白熱灯などの明かりに含有される光の色が理由で起こる現象で、太陽光が持っている色の成分とろうそくの炎や白熱灯などが持っている色の成分が異なり、アレキサンドライトは、そのそれぞれ色成分に反応してしまうことで、変色するという訳です。この効果をアレキサンドライト効果と呼ぶこともあり、岩石の中では大変めずらしい現象であることがわかります。
天然石として産出されるアレキサンドライトは、大抵あまり発色はよくありません。赤や緑には少しくすみが見られたり、ルビーの様な存在感のある赤色ではなく、紫がかった色であることがほとんどで、鮮やかな発色のものは珍重されています。変色が見られない場合はどんなに精度の良いものであったとしてもアレキサンドライトとは言うことはできません。
しかし逆を言えばどんなに粗悪なものであっても変色をすればアレキサンドライトと言えると言うことです。
そのため、発色がとても悪い石でも一部だけでも変色さえすれば、アレキサンドライトとして世の中に出回ってしまいます。また、美しい輝きで変色効果を持つアレキサンドライトはめったに見る事は出来ず、世界中でも珍しいとされてその価値も高いです。
もともと産出量が少なく、重量の大きなものが発掘されること自体が稀有な宝石ですので、取引価値は大変高くなっている貴重な宝石になります。そのため、世界の五大宝石に名前を連ねたり、「宝石の王様」だと称されることも多く、高品質なアレキサンドライトは宝石愛好家の中でも憧れとして君臨しています。