ペリドット
8月の誕生石に指定されているペリドットは、アラビア語で「宝石」を意味する"faridat"を語源として、古フランス語で"Peritot"と呼ばれたことから、英名が名付けられました。和名の「かんらん(橄欖)石」はペリドットが持つ色合いが、オリーブ(橄欖)の葉の色に似ていることに由来します。鉱物的な特徴は、テーブル面からパビリオン部分のファセット稜線が二重に見えるほどの、強い複屈折率を持つことです。
ルビーやサファイア、エメラルドも複屈折率を持ちますが、ペリドットほど強いものではありません。ペリドットの歴史は古く、ローマ人は夜暗くなってからも、まだ宝石が光を放って輝くため、「イブニングエメラルド」と呼んでいました。
後に、ペリドットは十字軍戦士によって持ち帰られ、中世の教会の装飾に使われました。美しいオリーブグリーンの輝きは、古代から人々を魅了し続け、そして今も色褪せることなく、見事な光を放っています。
産地とそれぞれの特徴
宝石は同じ種類の物であったとしても、山地によってその見た目や性質がかわります。世界中で産出されているペリドットは特に性質も変わってきます。元々ペリドットは玄武岩の中から産出されることが多く、火山の付近で採掘されています。国として発掘が多いのは紅海にあるセント・ジョン島が有名です。
ほかにもミャンマーやアメリカのアリゾナ州、ケニアやアフリカなど赤道付近が多くなっていますが、ノルウェーやフィンランドでも採掘はされています。
宝石としてのペリドットとは直接は関係ありませんが、ハワイ島で採掘されるものは「ハワイ・ペリドート」といわれる砂粒が採掘されます。1772年に墜落した隕石の中にもペリドットが含まれており、隕石に含まれていた宝石としては唯一とされています。
1. アリゾナ産
産出地としては最も多くなっているのが、アメリカのアリゾナ州です。アリゾナ州のペリドットは全体的に色味が強く、時にはブラウンや黒っぽいものも見られます。
エメラルドのような緑色が深くなったのではなく、あくまでも暗い色を混ぜた様な風貌であることが多くなっていますが、時には深く美しい色のものが採れることもあるため、一概に価値が低いとは言えません。
採掘される時には小さな粒が集合したようにまとまって採れるのが特徴で、そのため石を一つだけ使用したペンダントなどよりも、小さな粒をあしらった指輪などが多く、値段も手頃になっています。
2. ミャンマー産
ミャンマーで産出されるペリドットは、ペリドットの中で最高ブランドとまで言われるものです。アリゾナ産と同じく小粒のものも採れますが、目を引く様な大きなものが採れることもあります。
また、色味もたいへん美しく、ペリドットの特徴でもあるオリーブ色をして透明度の高いものも産出されており、世界中で人気のあるものとなっています。
ミャンマー産のペリドットは、ダイアモンドのようにファセット・カットをすることで更にその輝きを増させ、魅力的な雰囲気を出します。
3. ノルウェー産
世界中のペリドットを見比べてみても、ノルウェー産のペリドットほど澄んだ美しいものはないと言われているほど色味や透明感がある宝石です。通常のペリドットであれば、オリーブ系統の色合いが特徴ですが、ノルウェー産のペリドットは明るさを増したもので、緑味が濃くなっています。
また、ミャンマー産と同じく大きめのものが採れることが多く、装飾品としてもたいへん重宝されています。しかし、ノルウェー産のペリドットはなかなか店頭で見ることはできず、入手がしにくいと言われており、その価値が高いことがわかります。
効果
ペリドットは太陽の石と言われ、困難な状況でも、明るい希望の光で照らし、明るく前向きに生きていく希望を与え、夢を実現にするのを手助けしてくれる。
ペリドットを身につけると内面の魅力を引き出してくれ、異性を惹き付ける効果があると言われる。
ネガティブなエネルギー、詐欺や裏切りから身を守り、災いや悪魔を追い払う、魔除け効果があり、トラブルのない平穏な日々を守ってくれる。
不安や恐怖、後悔、嫉妬、うらみ、憂うつな考え、妄想、怒りや悲しみなどマイナスな感情を取り払って明るい気持ちに導いてくれる。暗闇に対する恐怖心を取り払う。
知能との関係が強く、知恵と分別を与えてくれる。
恋人や夫婦の仲を良くしてくれる。浮気心を抑制する。
ペリドットをゴールドと一緒に身につけると、パワーが増し、特に霊的なものに対して最高の護符になり、シルバーやプラチナと合わせると、社交性を高めると言われる。
「夜会の女王」「夜のともしび」
あかるいオリーブグリーンの光彩が魅力のペリドットは、夜間の人工照明の中でも輝きを失わないどころか、よりいっそうの光沢を見せることから、、「夜会の女王」「夜のともしび」 などの異名を持ちます。
この光沢の秘密は、光の屈折率が非常に高いことにあります。そして夜の闇の中でも鮮明なグリーンを保つことから、ローマ人たちは「イブニング・エメラルド」と呼んでいました。