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アンモライト

アメリカ合衆国とカナダのロッキー山脈の東斜面にのみ産出するオパール状の遊色を持った生物起源の宝石。
アンモライトの化学組成は多様で霰石以外にも方解石、シリカ、黄鉄鉱やその他の鉱物が含まれている。

特徴

アンモライト (ammolite) は、アメリカ合衆国とカナダのロッキー山脈の東斜面にのみ産出するオパール状の遊色を持った石です。
1981年に世界宝石連盟(World Jewellery Confederation)はアンモライトを公式に宝石として認定し、2004年にはカナダ・アルバータ州の州の宝石に定められました。

アンバー(琥珀)やパール(真珠)などと同じく生物活動によって生じた石であり、元々はアンモナイトの化石です。成分は主として、真珠の成分と同じ「霰石」(アラレ石/aragonite)ですが、 時にカルサイト、パイライトなどの鉱物を含むこともあります。
1990年代の後半、日本の風水業界においてアンモライトが注目を集めだし、気の流れを高めて幸福と解毒作用を強める石とされました。 成長、知性、財産を高めるルビー赤、エメラルド緑、琥珀黄のコンビネーションが最ももてはやされ、現在でも日本はアンモライトの最大の市場となっています。

上質なアンモライトでは、はっきりとした遊色効果が見られ、通常は緑から赤にかけた色を発します。他の多くの宝石が、光の中のある特定色を吸収することによって色合いを出しているのに対し、アンモライトは入射してきた光を反射することによって遊色効果を示します。この光を反射しているものは、アラレ石内部の微細層状構造であり、この層が厚ければ厚いほど赤や緑の色合いが強まり、また逆に薄ければ薄いほど青やすみれ色が強く出ます。

採掘されたばかりのアンモライトに、人目を引くような美的要素はありませんが、研磨と適度な人工処理によって、その美しさ差が最大限に引き出されます。
なお、以下でご紹介するのは、遊色効果を示すアンモライトの映像です。カット前の原石状態ですが、美しい虹色が観察できます。

起源

アンモライトの元になっているのは、白亜紀に繁栄していた「アンモナイト」という生物です。
アンモナイトは円盤状で、ちょうどかたつむりの殻をかぶったイカのような生物でした。このアンモナイトという生物はロッキー山脈に沿った亜熱帯性の海に生息しており、この地域は今日「Western Interior Seaway」と呼ばれています。

この地域から海が消えるに伴い、アンモナイトはベントナイト(ワイオミング州Fort Bentonの近くにある白亜紀層に産する特に高いコロイド性を持ち可塑性ある粘土)層によって埋められました。このベントナイト層のおかげで、アンモナイトはカルサイトに変質してしまうことをまぬかれ、結果としてアラレ石の豊富な化石、つまりアンモライトが形成されたのです。

産地

宝石としての質を備えたアンモライトの多くは、カナダのアルバータ州からサスカチュワン州、及びアメリカのモンタナ州南部にまで至る ベアポウ層(bearpaw)でのみ採掘されます。
アンモライト堆積層のおよそ半分が、カイナー族という先住民の居住区に含まれており、ここの原住民がアンモライト採掘に果たしている役割は非常に大きなものとなっています。アンモライト採掘を手がけるコーライト社(Korite)は、1979年に設立されて以来、このカイナー族の居住区において業務を執り行っており、自社で採掘した土地の広さに併せて、カイナー族にロイヤリティを支払うという契約を結んでいます。